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三峯神社から奥の院を経て大陽寺

寺院 山行 神社 関東百名山

三峯神社の「三峯」が指す3つの山峰とは、雲取山、白石山、妙法ヶ岳のことであるそうだ。江戸後期の地誌『新編武蔵風土記稿』にも、

山名の起りは雲採白石妙法ヶ嶽の三つは最も高く聳へたる峰なればとて即ちこの山を稱して三峯山とよべり

とある。

先日の雲取行では、最後の妙法ヶ岳だけ行きそびれてしまった。

そこで今日は、妙法ヶ岳山頂を極めて三峯完登を成し遂げ、霧藻ヶ峰から古刹大陽寺を経て、大血川に出るルートを歩いてみた。

 

西武秩父駅発の三峯神社行きバスの初便は、平日は9時10分発の10時25分着である。登山開始にはやや遅い時刻だが仕方がない。土休日はもう一便早いのが出るのだが、平日も走らせて良いのではないだろうか。さすがに立ち客は居なかったが、座席はほぼ埋まるほどの乗車率であった。

 

10時半頃に登山開始。針葉樹の植林帯を登り始めてしばらくして、おそらく雲取山に向かうのであろう重装備の男女パーティーを追い抜く。

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11時20分には妙法ヶ岳の分岐に着き、気持ちの良い美林の中を進む。

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山頂直下にはちょっとした鎖場があるが、子供用のアスレチック遊具程度の難易度。登りでは鎖を使う必要は無い。

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山頂に建つ三峯神社奥の院

『新編武蔵風土記稿』によれば、三峯山の奥の院はかつて雲取山、白岩山、妙法ヶ岳の三山それぞれの山頂に建っていたという。雲取山頂には石権現、白岩山には白山権現、この妙法ヶ岳には熊野三社と山王二十一社を祀る祠があったそうだ。

だからこれはあくまで、明治後の「三峯神社」の奥社という位置づけなのだろう。

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南の展望が素晴らしい。左手前が霧藻ヶ峰。中央右が白岩山。その左奥が芋木ノドッケ。一番右奥のでっぱりが雲取山だ。

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12時50分頃には霧藻ヶ峰手前の地蔵峠に着く。地蔵菩薩は新しい服に着替えさせてもらっていた。

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両神山を望む。日差しはきついが、涼やかな風が吹く爽やかな天候だ。

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地蔵峠から大血川への道は未踏なので不安だったが、キレイに整備されていた。歩きにくい箇所はほとんど無かった。

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美しいカラマツの植林帯。

http://i.imgur.com/vLFvGnN.jpg

水場があった。飲用できるかどうかは不明。

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大陽寺の上に着いた。たぶん寺の人が植えたのだろう、クリンソウが見事に咲いていた。

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この可憐な花をここで見られるとは思っていなかったので、疲れも吹き飛ぶ思いだった。

http://i.imgur.com/s1kgAZg.jpg

大陽寺山門。開山とされる高峰顕日(仏国国師後嵯峨天皇第3皇子)は1316年に亡くなっているから、今年でちょうど700年だ。

14世紀によくもこんな山奥に寺を建てたものだと、しみじみと感じる。しかし現代の常識で中世を見てはならない。今までの山歩きで分かったことだが、近世以前において南の青梅街道と北の秩父往還の間を往来する山間道がこの付近にあったことは確実である。また大陽寺が存在する大血川や大日向を含む秩父大滝村は、秩父往還によって甲州から東下したときの出口に当たる交通の要地であった。

また三峯山は、南北朝の動乱期において、関東の南朝(新田氏)方に多数の僧兵を送り込み、関東公方から討伐を受けた歴史的事実がある。14世紀には鎌倉公方が無視できない兵を養える力があったということになる。

さらに「大血川」という地名からは、鉄を中心とする鉱山の臭いがする。そこに武力と製鉄があるとなれば、それは権力者にとって無視できない存在、いやむしろ中世においては権力の源泉そのものであったろう。

つまり鎌倉末期においてここに臨済宗=武士政権に極めて近い宗派が、寺という拠点を作る根拠があったのではないかとも感じるのである。

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コアジサイ

大陽寺からしばらく山道を降り、観光釣場からは舗装道路となって、ひたすら秩父往還まで歩く。ちなみに観光釣り場は、奥多摩の酉谷山への登山口でもある。

16時半頃、大陽寺入口バス停に着。三峰口駅までバス。