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石戸蒲桜、城ヶ谷堤の桜、天神社のムクノキ(埼玉県北本市石戸宿)

4月6日、国指定天然記念物で「日本五大桜」の一つである石戸蒲桜が満開になったとの報を受けて、花見に行ってきた。

圏央道桶川北本ICを降り、桶川道路を少し北上して案内表示のあるところで西の石戸宿の集落に入る。石戸蒲桜の付近には数十台分の無料駐車スペースが用意されているのだが、午前11時頃に到着した時には、既に満車で順番待ちの行列が出来ていた。

そこで少し離れた城ヶ谷堤の無料駐車スペースまで行く事にした。城ヶ谷堤は北本自然観察公園の北西にあり、こちらのスペースの方が広くて駐車しやすい。私が着いた時点ではほんの数台しか駐車していなかった。

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城ヶ谷堤の桜。こちらはソメイヨシノがほとんどのようだ。駐車場の方には食べ物を売る出店屋台が何軒か出ていたが、見物客は弁当持参の中高年がほとんどだった。

ちなみにこの堤の下で何かの映画撮影をしていた。スタッフが見物客を誘導していたのだが、こんな日に撮影するなら、もっと早朝の客が来ないうちに済ませないとダメだ。

 

 

城ヶ谷堤から北本自然観察公園の中を30分弱くらいかけてゆっくり散歩し、石戸蒲桜へ。

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中央にウグイスが居る。何処かにいるもう一羽と盛んに歌を交換していた。

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石戸蒲桜は東光寺の境内、阿弥陀堂の隣にある(東光寺なのに阿弥陀堂というのも妙だが…)。既に大勢の見物客で賑わっていた。

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2010年に実施された埼玉県教育委員会による『国・県指定天然記念物(植物)緊急現状調査報告書』によると

 

石戸蒲ザクラ北本市東光寺の境内にある、樹齢700 年といわれる老大木で日本五大ザクラの一つとされている。品種はエドヒガンとヤマザクラの自然雑種で、4 月上・中旬に白色の花をつける。指定当時は4本の大きな幹に別れ幹周11m と記録されているが、現在は3本ある幹のうち1 本が完全に枯死しており、2本を残すのみである。この現存する2本の幹は古株から萌芽再生したものである。

 

とある。「指定当時」とは、1919年に公布された「史蹟名勝天然紀念物保存法」によって、1922年にこの桜が天然紀念物に指定された当時の事である。つまり100年の間に、4本の幹のうち2本が枯死してしまったのだ。上記『報告書』では、講評として

 

北側の幹には芯に達する開口空洞が周囲長の1/3 以上あるが、腐朽は外観的には止まっているように見える。しかし、北側幹の径40cm程度の剪定痕は巻き込みがみられず、活力の低下のおそれがあるほか、梢端の枝が折れるなど梢端の成長は良いとはいえない。従って、診断のほか必要な詳細調査を実施し、樹勢回復の対策を講じる必要がある。

 

としている。北側の幹とは、写真右側の3mほどある大きな幹の事である。一見したところでは樹勢はなお盛んのように見えるが、実際は油断ならない状況にあるといえるようだ。

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これは江戸後期成立の地誌『新編武蔵風土記稿』の絵図である。巨大な蒲桜と小さなお堂が描かれており、当時桜の根元には多くの石塔が置かれていたことが分かる。『風土記稿』の石戸村の項には別に「櫻樹」と題して紹介されている。

 

櫻樹
阿弥陀)堂に向て右にあり。高さ三丈餘。枝さし覆へる徑り凡十五間餘。白花にして單辨なり。根の盤りたる處に貞永弘安永正文應等の古碑及文字も讀得ざる斷碑五六基挾入れり。其様樹根より生ひ出たる如し。相傳ふ、範賴此地に住せしとき、手自から植し樹なれば、蒲櫻と號せりと。されど範賴此地に住せしこと疑ふべきは前に辨せし如くなれば、全く事を好むものゝ云始たる説なるべし。さはあれ珍らしき老櫻なり。

 

蒲冠者源範頼由来とされる老桜であるが、実際の所は分からない。しかしそうでなくても珍しい桜であるには違いない、と。いかにも江戸後期の実証主義的な論調で、非常に好感の持てる分析である。

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これは1933年(昭和8)に埼玉県が編纂した『保存指定、同假指定、埼玉県史蹟名勝天然紀念物』の写真である。この時にも幹はまだ4本あるように見える。石塔は大部分が撤去されているようである。同書には「石戸蒲櫻」と題して

 

櫻の代表的巨樹として古來著明なり。靜岡縣の借宿下馬櫻、岐阜縣の薄墨櫻、山梨縣の山高神代櫻、福島縣の三春の瀧櫻と共に、日本に於ける櫻の五大巨木の稱あり。

 

としている。「日本五大桜」は、1922年(大正11)10月12日に、桜としては国指定天然記念物として初めて同時指定されたから付いた称であるようだ。

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阿弥陀堂と蒲桜。

余談だが、蒲桜の前の広場で売っていた「北本トマトカレー」を食べたのだが、想像以上に美味かった。ちょっとキーマ風なのが私の好みと合っていた。

 

桜とカレーを満喫し、次に天神社のムクノキを見に行くことにした。

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もう山吹が咲いている。そういえば石戸城は太田道灌にも関わりがあるらしい。

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畑の脇に白いアケビの花が満開。可愛い花なのだがアップで撮る技術が無くて残念。山に生えているアケビは濃い紫の花が多い様に思うが、種類が違うのだろうか。

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天神社の隣の放光寺の枝垂れ桜。説明書きによると三春の滝桜の子孫で1995年の植樹らしい。見事な咲きぶりだ。

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天神社のムクノキ。風格のある大樹である。

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北本市の説明書きによれば、根回り5.24メートル、高さ20メートル、樹齢は600年以上。枝からは新芽が出始めていた。

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桃の花も満開。

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城ヶ谷堤に戻ってきた。

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駐車場の奥にある釣り堀前に生えていた菜の花と諸葛菜。