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御岳山、大岳山、御前山(奥多摩)日帰り

今月中旬に谷川岳に行こうと思っている。しかし、今年は夏の悪天候もあって、ほとんど山登りをしていない。だから近場で現在の自分の体力を測るために、軽い日帰り縦走をすることに決めた。

近場ということで候補となるのは奥武蔵、秩父奥多摩、丹沢であるが、できることなら自分の未踏峰があるコースが良い。そこで先日クルマで奥多摩湖に行った時に下から眺めて心に残った、サス沢山と御前山に至る縦走コースを歩くことにした。ここは今月末に開催される「山岳耐久レース」のコースの一部にもなっているので、最近の悪天候の後でも、歩きやすいように整備されているだろうという予測もあった。

7時11分、青梅線御嶽駅で下車。青梅街道を渡り、多摩川沿いの遊歩道を上流に向かって歩く。

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この辺りの紅葉はまだ先のようだ。気温はそう高くないのだが、湿度があるようで、歩いていると暑くなってきた。

ここで軽いミスを犯した。多摩川を神路橋で渡るつもりだったのに、一つ手前の杣の小橋を渡ってしまった。中野バス停からバスに乗るつもりだったのに、一つ手前の檜沢から乗らざるを得なくなり、運賃が100円多くかかった。何ということのない軽いミスだが、こういうちょっとした判断ミスが、山の中だと大変な結果を招くことになる。たるんでる場合じゃないぞと、バスの中で反省して気合いを入れ直す。

ケーブル下バス停から、滝本駅に向かう道すがら、小中学生が坂を下ってくるのとすれ違った。この子たちはたぶん、御岳の御師集落の子供たちだろう。始発のケーブルカーで山を下り、俺が乗ってきたバスで御嶽駅まで出るのだ。そして青梅線に乗って二俣尾や梅郷の小中学校に通っているのだろう。いったいどういう生活なんだろうな。彼らは紛れもなく「東京都民」であるのに、山の生活者でもあるのだ。

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杣の小橋から多摩川下流。

7時55分発のケーブルカーで、御岳山駅に向かう。かわいい愛犬を連れた夫婦連れと、3人組の“山ガール”が同乗した。見た感じ女子大生っぽい3人組の山ガール。本当に存在するんだな…。初めて見た。

8時過ぎに御嶽山駅に到着し、早速歩き出す。今日は直線距離でも10キロある山道を、休憩時間を入れて8時間で歩かなければならない。

しかし天候がすぐれない。天気予報で「晴れ」の日をわざわざ狙ってきたというのに、曇天である。2008年に御岳と大岳に登った時は、濃霧だった。それと比較すれば、まだマシではあるが……。

8時20分頃、御嶽神社に参拝し、山行の無事を祈願する。今日は裏の大口眞神社はスルーして、長尾平への分岐へ急ぐ。眺望はせいぜいお隣の日の出山が見える程度だ。

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針葉樹の詰まらない登山道を歩き、9時5分頃、奥の院と巻道の分岐に到着。長尾平と日の出山が見える。日が高くなれば雲も晴れるかと思っていたが、どうも無理そう。この時点で大岳から富士山を望むのを諦める。

9時15分、奥の院に到着。石造の祠が置かれているだけの簡素な物だ。

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木々の間から大岳を遠望。頂上は雲を被っている。霧雨にならなければいいが…。

9時32分、鍋割山(1084m)に到着。

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まだ時間が早いせいか、すれ違う人は一人も居ない。

9時47分、芥場峠を通過。

10時15分、うち捨てられ、荒廃が進む大岳山荘を通過。もったいないが、御岳に多数の宿坊があり、周囲は日帰りの山ばかりなので致し方ないか。

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一部で有名な大岳神社のオオカミの狛犬。シンプルだが味のある大変すぐれたデザインだと思う。

山頂に行く途中で降りてきた男性とすれ違う。やはり頂上は眺望が全く無いという。この男性も4回登ったが、富士山が見られたのは1回だけらしい。やはりこの辺りの山で遠景を求めるなら、冬なのかな。

10時33分、日本二百名山、大岳山(1266.5m)登頂。

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二等三角点

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南側はこの有様である。一瞬だけ浅間嶺(903m)が顔を覗かせた程度。

山頂には男性が一人いたがすぐ下山し、俺が軽く軽食を摂っていると、またソロの男性が登ってきた。この後鋸山へ行く尾根道上も、男性の単独行ばかりであった。紅葉にはまだ早いこの時期、まるで孤独を求める男たちがこの山域に引き寄せられて来ているかのようだった。

景色が見られないのでは詰まらないので、さっさと下山して御前山に向かう。ここからはアップダウンのある尾根道である。

2008年に大岳に登った時は、確か檜原方面に降りたので、ここからは初めての道だ。

大岳側は巻道が用意されているピークが多いのだが、次第に上り下りの連続を強いられるようになる。体力ゲージがみるみる下がっていく。

11時31分、オキノ岩山を通過。途中で可愛い柴犬を連れた男性とすれ違う。大ダワから登ってきたのかな。どこまで行くのだろう。

11時52分、鋸山(1109m)に登頂。

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この辺りは針葉樹だらけで眺望もなく、ひたすら詰まらない。

12時8分、鋸山林道との交差点である大ダワ(994m)に到着。f:id:x-1:20151006120813j:plain

今日の行程のちょうど半分。予定時間も半分の4時間で来た。良いペースである。

太陽光発電パネルが屋根に乗った公衆トイレで用を足し、再出発。ここからもアップダウンが激しい尾根道だった。途中で、おそらく山岳耐久レースの練習をしているのであろう、10人あまりのグループとすれ違った。いやあ、こんな山道を本当に走ってるよ…。信じられない。ほとんど修行のレベルだろ……。

12時37分、鞘口山(1142m)に到着。

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疲れてきたが、行動食のチョコレートを食べて頑張る。

12時56分、クロノ尾山に到着。

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13時37分、御前山下の分岐点を通過。ここから栃寄方面は通行止めになっているはずだが、何も掲示されていなかった。林道にエスケープできるからだろうか。それにしても奥多摩の山は案内表示板が多くて至れり尽くせりだ。とても親切なので安心して歩ける。

少し歩くと避難小屋とトイレがあるのだが、時間の節約のためにスルーすることにした。いつの日か、この避難小屋を利用して奥多摩三山の縦走、なんてこともしてみたいものだ。

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13時54分、奥多摩三山の一つ、御前山(1405)に登頂。山頂はちょっとした広場だが、あまり眺望がない。まああったとしても曇り空では大して期待は出来ないが。紅葉もまだ先のようであった。山頂付近、僅かに色づき始めているかな、という木が数本という程度。まあまだ10月初旬である。

5分ほど休憩して、下山を急ぐ。西向きに降りるので、多少明るさに余裕はあるけれども、やはり遅くとも16時には下に降りていたい。

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雲をかぶった三頭山。御前山から西側は広葉樹、照葉樹の自然林が広がり、大変気持ちが良い。カタクリの群落もあるそうなので、新緑の季節に来ると本当に素晴らしい山なのではないだろうか。

大ブナ尾根を降りる途中、見晴らしの良いポイントがあって、思わず声が漏れてしまった。

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手前は石尾根、向こうが長沢背稜だ。雲に届きそうな六ツ石山(1478.8m)、ちょこんと突き出た蕎麦粒(1472.9m)と三ツドッケ(1576m)の特徴ある山容がよく確認できる。この中で登ったことがあるのは蕎麦粒のみ。石尾根や長沢背稜の縦走もいつかしてみたいもの。

眺望という点では本当に最悪だったこの日の山行だが、これを見られただけでも良かったかな…。

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大ブナ尾根は本当に気持ちが良い。やっぱり三頭山に近い感じがする。

14時22分、惣岳山(1348.5m)に到着。

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紅葉の時期も綺麗だろうね。

惣岳山から急坂にさしかかる辺りで、人間ではない生き物の気配を感じて立ち止まった。毛のカタマリのような物が動いている。すわ熊か、と一瞬緊張したが、毛の色が薄茶色なので、すぐに猿だと分かった。

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木の根元で向こうを見ている猿が居るのが確認できるだろうか。好奇心の強いやつがもっと近くまで寄ってきたのだが、動きが速くて撮影できなかった。

大人から子供までかなり大きな群れが、さかんに木の実を食べていた。見る限りでは今年は天候不順にもかかわらず、ドングリなどの木の実は豊作のようだった。この辺りは自然林なので動物の数も多いのだろう。鹿や猪の糞も確認できたし、キジが3羽くらい目の前を横切る、なんてこともあった。

猿の群れは、口笛を鳴らして注意を促すもの、群れを先導していくもの、最後まで殿に残って警戒し、仲間が全員去ったのを確認して行くもの(多分これがボスであろう)、よく分担統制が取れていて感心した。合理的でなくては生き残れない自然界の生き物たち。もしかしたら、一番非合理的なことをやっているのは人間なのかも知れない。

猿は近隣の住民にとっては作物を荒らす悪者であろうが、批判されるのを承知であえて言う。目先のカネのために山を片っ端から暗い人工林に変えて、彼らから住む場所を奪ったのは誰なのかということだ。人間の愚行が自らにはね返ってきているだけではないか。

 

さて、サス沢山を通過し、15時15分頃、奥多摩湖を望むスポットまでやってきた。

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戸山(1169.3m)から榧ノ木尾根がよく見える。奥が赤指尾根だろう。とすればこの位置からなら、よく晴れていれば飛龍山方面も見えそうな気もするが…。どうなんだろう。

それから約1時間弱、急坂に次ぐ急坂を下りて小河内ダムに到着。16時12分発のバスに乗れなかったので、水と緑のふれあい館で休憩。

すると、15時頃から吹き始めた北東風のおかげで、今までの曇天が嘘のように晴れた。

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奥多摩湖バス停前から。これ、左奥が御前山かなあ。しっかし、なんつー青空だよ…。日頃の行いのせいだと誰か言ってやって下さい。

しかし全行程ほぼ8時間、予定通りに歩き通せた。僅かではあったが景色も見られたし、野生のニホンザルにも出会えた。じゅうぶん満足できる山行であったと思う。