石堂寺、那古観音

関東地方が洪水の大被害に見舞われる中、18きっぷの最後の1日分を使って、南房総市を訪れた。

東京駅08時02分発特別快速→10時10分館山駅

廃止になった特急の代わりに設定された特別快速で館山へ。江戸川を越えるあたりで減速運転したせいで、千葉駅では6分ほど遅れていたが、館山にはほぼ定刻通りの到着となった。この辺りのJRの修正能力は凄い。

館山駅前10時30分発館山市代替バス→11時09分石堂寺前バス停着

館山からバスに乗り、安房国の山の中へと分け入っていく。石堂寺が在る辺りの丸本郷集落は、古代には満禄郷と呼ばれ、式内(論)社の莫越山神社も存在する、安房国でも歴史的に最も古い地域の一つである。

バス停を降りるとすぐに寺の入り口があり、階段を上り朱に塗られた山門をくぐる。山門には杖が置いてあるのだが、そこから上がる階段はなるほど杖が必要になりそうなほどの険しさだ。(もっともクルマで来た場合はそのまま上まで行ける道があるのだが。)

滑らないように気をつけて登ると正面に多宝塔、左手に本堂がある。

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国重文の多宝塔。建立は露盤に1545年という銘があったそうだが、後年に大規模な改修が施されているようである。こぢんまりとはしているが、大変に均整の取れた美しい多宝塔で、組み物も屋根の反りもしっかりしている。この日はあいにくの天気だったが、青空によく映えそうな綺麗な塔である。

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国重文の本堂は1525年の再建と伝えられている。純禅宗様というわけではなく、折衷様的なところが、その建立年代の古さを物語っているように思う。

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内のようす。素朴な海老虹梁や拳鼻の形から見ても室町時代のものというのが妥当だろう。

多宝塔の脇を抜け、さらに階段を上がると茅葺きの薬師堂がある。

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こちらはもとからこの場所にあったものではなく、少し離れた石堂原という集落内に在ったものを移築したものである。寺の説明書きには桃山時代の建築と書いてあるが、真偽は分からない。ただし江戸中期以降に3度修理したという記録があるから、それ以前のものなのは間違いないだろう。

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廻り縁といい、屋根の軒といい、ほぼ純和様の建築である。かつて印西市市原市の山中にある仏堂を巡拝したことがあるが、それらとほぼ共通している。古くから農村の信仰の中心として、人々に大切にされてきたのだろう。

さて、他にも国重文の庫裏や移築されてきた民家が存在するのだが、雨が強くなってきたので、そちらはスルーして早めにバス停に戻ることにする。

11時51分石堂寺前バス停発→12時18分那古宿バス停着

那古宿バス停からすぐの所に那古観音(那古寺)がある。ここは坂東三十三観音の33番目の札所で、結願のお寺である。

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残念ながら県指定文化財の多宝塔は修復中であった。写真は仁王門。

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観音堂を横から。屋根は瓦葺きの入母屋。妻飾りの下には邪鬼が彫られている。

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方五間で正面に向拝がある。柱は円くなっているが、床下部分は八角だという。

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扁額、虹梁、手挟み。修理されたばかりで色鮮やか。内陣は撮影不可とのことだったので撮影しなかったが、厨子も精密な細工が施されており、大変立派なものだった。

那古寺は1703年の元禄の大地震で倒壊したあと、この観音堂は1732年に再建されたそうである。厨子は1781年の作。

この後、崖観音にも行こうかと思ったのだが、こちらは遠景からでも修理中であることが確認できたので、那古船形の駅から隣の富浦に行き、道の駅で休憩することにした。

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レトロな那古船形駅。水色の屋根瓦が珍しい。

富浦の道の駅は館山道から直結しているということもあるのだろう、とても大きな施設群で、売り物も豊富だった。名物のびわのゼリーを購入。

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浜金谷駅で下車し、東京湾フェリー久里浜へ。写真は金谷港からの夕景。

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船内で購入したペリーサイダー。

東京湾は関東北部の大災害が嘘のように穏やかで、40分のクルージングはとても快適だった。これで料金720円は良心的だなあ。

久里浜からは横須賀線で帰京。